不動産の財産調査方法
相続財産のうち価値の高い財産としてあげられるのが、土地や建物といった不動産です。不動産には複数の評価方法が存在しますが、遺産分割においてどの評価額を基準とするかについての定めは法律上ありません。
不動産を売却しない限り、現金に換算した数値を提示することは難しく、また相続後すぐに売却を検討するケースはそこまで多くはないため、別の評価基準を用いるのが一般的です。
こちらのページでは不動産(土地)の調査方法および評価についてご説明いたします。
不動産の調査方法
不動産を評価するにあたり、対象不動産の所在や面積等がわかっていなければ先に進めることはできません。
現在日本の不動産の情報は法務局で管理されており、誰でも閲覧できるようになっています。まずは被相続人の自宅や貸金庫等から権利書(登記識別情報通知)を探してみましょう。
権利書が見つかった場合、その情報をもとに登記簿謄本を取り寄せ、現在の権利関係を確認します。
なお、不動産が相続財産にあることはわかっているけれど権利書が手元にない、もしくは相続人のひとりに隠されている等の事情がある場合、市区町村にて名寄帳を取り寄せることで被相続人が所有する不動産の情報を手に入れることができます。
ただし、名寄帳には私道等の非課税地は記載されないため、別途公図等であたりをつけ、登記簿謄本を確認する必要があります。
また名寄帳の管理対象は市区町村ごとのため、所在地がまったくわからない不動産については調査ができません。「〇〇県内にあるはず」という程度の情報しかない場合には複数の市区町村に問い合わせを行い、調査しましょう。
土地の評価方法
現在、土地の評価については主に下記4つの基準があげられます。
- 実勢価格…実際に市場で取引される価格のこと。実際に売れた場合はその金額
公示価格に対し110%から120% - 公示価格…地価公示法に基づき、国土交通省が発表する地価の基準値のこと
- 路線価格…相続税申告の評価額算定の際に基準となる価格。公示価格に対し80%程度
- 固定資産税評価額…固定資産税を課税する際に用いられる評価額。公示価格の70%。
上記のうち、一般家庭の相続に利用しやすいのは「固定資産税評価額」です。
金額が明確にわかりやすいのが理由のひとつではありますが、仮に不動産売却する場合、登録免許税や譲渡所得税等(譲渡益がでた場合)が課せられるため、実勢価格を基準とすると現金で同額を相続した人と不平等になる可能性があります。
なお遺産分割の方法として「相続財産を売却し現金化して相続人でわける」ことも可能です。その場合には、売れた額より売買にかかった経費等を差し引き分割します。
固定資産税評価額は上記名寄帳のほか、納税通知書等で確認できます。
また市区町村から「固定資産税評価証明書」を取り寄せることも可能です。